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相談援助の理論と方法Ⅳ/社会福祉援助技術論Ⅳ
(コミュニティワーク)

花園大学・2009年秋学期
単位(2) 月曜日3限
講師:室田信一

::シラバス
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::科目目標
コミュニティの複雑さとワーカーの役割、ジレンマを理解し、平和や人権、民主主義、幸福といった価値に対してワーカーがどのように働きかけることができるのかについて理解を深める。単に地域における福祉サービスの供給システムや、相談援助の技術に関する知識を身につけるだけではなく、コミュニティワーカーが実践においてどのような思考と戦略を持って福祉の課題に対応しているのか考察する。
::授業内容
地域、もしくは特定の集団を対象とした社会福祉の援助における理論と方法について学ぶ。授業は基本的に講義形式で行うが、配布資料とワークシートを用いながら、適宜、視聴覚教材や新聞雑誌記事などを用い、最新の活動動向も取り入れ授業を行う。個人ワークとグループワークの時間を取り入れ、一方通行にならない授業を展開する予定である。
::授業計画
第1回(9/28) オリエンテーション スライド1
第2回~第3回 1.コミュニティワークの「なぜ」
(10/5) (1)天災と人災 スライド2 WS1
(10/12) (2)有機的な関係とそのデザイン スライド3 WS2
第4回~第6回 2.コミュニティワークの「なに」
(10/19) (1)コミュニティのメカニズム (紹介したビデオ:RENT春日住民福祉協議会 スライド4 WS3
(10/26&11/2) (2)コミュニティを組織するということ (資料:「大きな木の話」) スライド5 WS4
(11/9) 休講
第7回~第11回 3.コミュニティワークの「どう」
(11/16) (1)知る方法 (資料:産経ニュース「『老老介護』悲哀」 スライド6 WS5
(11/23) (2)動かす方法 スライド7 WS6
(11/30) (3)つくる方法 (資料:「当事者運動(148-149)」「地域生活支援(88-89)」『社会福祉キーワード』) スライド8 WS7
(補講日12/5)
教室:自適館300
(4)育てる方法 (資料:「地域のつながりをつくるセツルメント」『ネットワーク』292号、「お隣さん祭りが大ブレイク」『ソトコト』No.105 スライド9 WS8
(12/7) (5)「変える」ということ (資料:「ソーシャル・アクション(146-147)」「エンパワーメント(194-195)」『社会福祉キーワード』) スライド10 WS9
第12回~第13回 4.コミュニティワークの「だれ」
(12/14) (1)コミュニティワーカー (ゲスト:茨木市社会福祉協議会 村木健さん:資料 スライド11
(12/21) (2)コミュニティソーシャルワーカー (ゲスト:常清の里 伊達正典さん) スライド12
第14回(1/18) 5.社会をデザインするということ
期末試験(1/25)
::評価方法
ワークシート
【30点】
ワークシートは、授業に沿って用いる教材です。授業でのパワーポイントや講義の内容を参考に、自分のノートとして利用してください。また、平常点の参考としても用いるため、回収することもあります。学期終了までファイルやホルダーに保存し、授業に携帯してきてください。また、ワークシートはクラスホームページからダウンロードすることもできます。
筆記試験
【50点】
授業中に説明するコミュニティワークに関する基本概念や語彙の確認をします。選択肢および穴埋めで全25問。内容は、授業で紹介する概念や語彙から出題します。
平常点
【20点】
15 週間を通したクラス全体の授業態度に対して、最大10点の評価をつけます。授業の進行を妨げるような行為、他の学生に迷惑となるような行為は控えてください。出欠状況は、ワークシートやコミュニケーションカードの提出によって確認します。大きいサイズのクラスになりますが、講義の時間もなるべく皆さんの意見や質問を取り入れるようにします。積極的に参加してください。
ボーナス課題
【10点】
ワークシート
何らかの理由で授業に参加できていない、もしくはワークシートを提出できていない生徒は、次の課題を提出することで、最大10点のボーナス点を得ることができます。提出期限は1月18日です。
1)実際に存在する団体※で、コミュニティワークを推進している(もしくは過去に推進していた)団体について調べなさい。団体名、所在地、ホームページや電話番号など、対象とするコミュニティ(地理的/機能的)、設立の経緯
2)その団体が推進するコミュニティワークの活動内容について記述しなさい。その際、①ソーシャルアクション、②コミュニティ・ディベロップメント、③ソーシャル・プランニング、④コミュニティ・ビルディングのカテゴリーに分けて説明すること※※。
※社会福祉法人、NPO法人、任意団体などの種類は問いません。
※※最低でも一つのカテゴリーは埋めること。
::参考書・おすすめ図書・映画
13
【参考書】地域福祉(ミネルヴァ書房)
編:柴田謙治
はじめて地域福祉を学ぶ人にとって、地域福祉をわかりやすく説いてくれる教科書です。この教科書はセツルメントに焦点を当てて地域福祉を伝えようと試みているところがユニークといえます。セツルメント活動はコミュニティワークの原点であり、今日のコミュニティワークの実践もセツルメントの実践から学ぶことがたくさんあります。大学で社会問題やコミュニティについて学んだ学生が、学んだ知識を社会に還元することからその実践が始まった点も、セツルメントがこれまで多くの学生を魅了してきた点でしょう。是非、この教科書を片手にフィールドに出て、知識を実践にいかしてほしいと思います。
01
【参考書】地域福祉の理論と方法(中央法規)
編:社会福祉士養成講座編集委員会
地域福祉のもっとも一般的な教科書です。社会福祉士の受験を考えている人はぜひ購入を考えてみてください。
教科書では「地域福祉」と「コミュニティワーク」という明確な線引きがされていませんが、第5章「専門職の役割と実際」、第6章「住民の参加と方法」、第7 章「ソーシャルサポートネットワーク」、第8章「地域における社会資源の活用・調整・開発」、第9章「地域における福祉ニーズの把握方法と実際」、第10 章「地域トータルケアシステムの構築と実際」については、この授業のなかで詳しく触れます。教科書の内容を鵜呑みにするのではなく、常にクリティカルな視点でよむように心がけてください。
02 【参考書】社会福祉キーワード(有斐閣双書)
編:平岡公一、副田あけみ、平野隆之
社会福祉は多くの専門用語を使うため、それらの言葉に早くなじむように心がけましょう。用語辞典やキーワード集はいろいろありますが、各項目についてクリティカルに記述されているという意味において、本書はお勧めです。筆者の「カラー」が出ているので、上記の教科書と併用するように心がけてください。「コミュニティケア」、「ソーシャルアクション」、「ケアマネジメント」などの項目については、授業中にコピーを配布します。
03 【参考書】チェンジメーカー (日経BP)
著:渡邊奈々
英語でソーシャルワーカーのことをチェンジ・エージェント(change agent)と表現しますが、それはソーシャルワーカーが、社会やコミュニティ、人々の関係性の中に「変革」をもたらす存在であることを期待されているからです。チェンジメーカーとは、世の中に「変革」を作り出す人たちのことです。ここでは、そうした人たちのことを社会企業家と呼んでいますが、コミュニティ単位でそうした「変革」を創り出す人こそコミュニティワーカーなのです。
どの社会企業家たちも、最初は目の前のクライアントが抱えている問題をどのようにして解決できるかという問いに答えることから出発している点に注目し、彼ら彼女らが、どのような方法やアイデアを駆使して「変革」を現実のものにしたのかを読み取ってください。
04 【参考書】都市の鍼治療 (丸善株式会社)
著:ジャイメ・レルネル(訳:中村ひとし、服部圭郎)
ブラジル、クリチバ市市長を経て、パラナ州知事を2002年まで務めた、元国際建築家連合会長でもあるレルネル氏の著書。クリチバ市は、その環境に配慮したデザインから世界中の注目を集めています。本書は、クリチバ市の名を世界に知らしめたレルネル氏の考える「都市のデザイン」について、多くの事例とともに紹介されています。
都市をデザインするということはつまり、人々の行動基盤をデザインするということです。コミュニティワークも、人が有機的につながり、行動を共にする基盤を整える仕事です。本書の多くの事例は、コミュニティワークにも参考になるでしょう。
05 【参考書】誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社)
著:ドナルド・A・ノーマン(訳:野島久雄)
私たちが何気なく使っている「モノ」のデザインは、実は、私たちにとって最も使いやすい形にデザインされているのです。ですから、私たちは説明されなくても、初めて使う道具を悩むことなく使えたり、初めて訪れる空間でも、ほかの空間同様に利用したりすることができるのです。
「モノ」をデザインする時、利用者の認知をあらかじめ想定する必要があります。私たちの社会やコミュニティは、どれほど人にとって利用しやすいデザインになっているでしょうか。コミュニティワーカーがコミュニティをデザインする時、コミュニティメンバーの認知に働きかけることが大切になります。本書は、「モノ」をデザインするということはどういうことかを考える上で、参考になるでしょう。
06 【参考書】地球交響曲(ガイア・シンフォニー)トマトの生命力に学ぶ (善文社)
著:野澤重雄、原口庄輔
自然界にはあらかじめ内蔵されたメカニズムがあるようです。そのメカニズムを「有機(オーガニック)」と呼んでいます。本書は、水だけで育つトマトの神秘を通して、生命の有機的な力を紹介しています。
社会福祉は人間本来の能力を伸ばすのではなく、過保護なまでに「農薬」をつかって人間の福祉的な生活を保障しているのかもしれません。人間が本来持っている能力を引き延ばし、そうした人々の能力をオーガナイズ(組織)することで、社会は有機的エネルギーに満ちたものになるでしょう。コミュニティワークにとって欠かせないそのような視点を本書から読み取ってください。
07 【おすすめ図書】レンタルお姉さん(東洋経済)
著:荒川龍
今日の日本社会におけるもっとも深刻な問題の1つがニートの問題かもしれません。そのことを「問題」と捉えるか否かは、本人次第かもしれませんが、労働を基本とした今日の社会構造において、労働市場から離脱した「若者」とその家族は、社会構造からも離脱する危険性をはらんでいます。
こうした課題に対して正面からぶつかっていった実践事例が本書で紹介されているNPOニュースタートの取り組みです。既存の社会福祉の方法にとらわれず、目の前の課題に対して、最も効果的と思われる方法で取り組み、多くの失敗と成功を経て、援助方法を確立していく。人間と向き合うとき、そこには「絶対」というものはありません。試行錯誤の実践の中にこそ、援助における真実が隠されているでしょう。
コミュニティワークでは、新たな事業を開発することが期待されています。コミュニティのニーズに応じて、ニュースタートのように事業を新たに立ち上げることも、コミュニティワーカーの役目の1つです。
08 【おすすめ図書】希望の国のエクソダス (文藝春秋)
著:村上龍
コミュニティワークと言うよりも「運動」的な要素が強い小説です。人(この場合13歳の少年たち)が新たな価値観を抱き、技術を駆使して、1つのムーヴメントを起こす。そこには、蔓延する社会問題と社会情勢に対する彼らの返答がこめられています。一人一人の意志がつながったとき、大きな流れをつくりだし、それが1つの新しい価値観を導き出すに至ることがある。それが、結果的にお金に結びつくこともあるし、政治的なメッセージを含むこともある。ボランタリーな活動の可能性を広げると、こんな小説ができるのかもしれません。
本書で紹介されているような「革命」に至らなくても、人が「求め」に応じて有機的につながったとき、社会を「変革」することが可能になるのでしょう。
09 【おすすめ映画】エリン・ブロコビッチ (ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
ひょんなことから弁護士のアシスタントとして工業排水汚染の問題に巻き込まれたエリンは、調査をしているうちに被害者側の悲惨な状況に気づき、巨大エネルギー会社を相手取り、被害者側の代弁者としてコミュニティをまとめ、裁判に持ち込みます。実話を基に作られたこの映画は数少ないコミュニティワーク映画の代表作といってもいいでしょう。実際に、オーガナイザーが弁護士と協力し、法廷での解決を1つの戦略として用いるケースは少なくありません。
ソーシャルワーカーは、常に声なき者の声を代弁する役割を求められています。この映画は、そうした代弁(アドボカシー)がどのようになされるのかをわかりやすく紹介してくれています。
10 【おすすめ映画】ミルク (フォーカス)
監督:ガス・ヴァン・サント
アメリカ、カリフォルニア州サンフランシスコ市の市議であったハーヴェイ・ミルクを題材として作成された、史実に基づく映画。ミルクは米国で初めてゲイであることを公表して当選した公職者ですが、議員就任後1年も経たないうちに、同僚議員によって射殺されました。ゲイという社会的な迫害をバネに、市民の支持を得ることに成功し、多くの仲間に支援されながら社会正義をうったえる姿は、議員でありながらも、コミュニティワーカーの役割をこなしているといえるでしょう。特にソーシャルアクションの方法に注目!
11 【おすすめ映画】チキンラン(東芝デジタルフロンティア)
監督:ニック・パーク&ピーター・ロード
農場で飼われているニワトリたち、鳥に生まれながらにして、空を飛ぶことができないため柵を飛び越えて外の世界へ逃げ出すことができません。そんな不幸な運命に生まれたニワトリたちでも、みんなでまとまり「走る」ことで、空を飛び自由の世界に飛び出すことができるのです。とてもアレゴリカルな作品です。
ニワトリたちのオーガナイザーであるジンジャーが言う「壁はあなたの頭の中にある」というセリフが印象的。アニメと思って観ていたら、その内容の深さに驚かされます。
12 【おすすめ番組】ご近所の底力(NHK) 毎週日曜日 午後1時35分~
HP: http://www.nhk.or.jp/gokinjo/
日本の小地域において、住民はどのようなことを「問題」と捉えていて、それをどのような方法で「解決」しているのか、とてもわかりやすく紹介してくれます。本クラス受講生必見番組です。ここで取り上げられるものだけが社会の問題ではありませんが、日本の地域活動に参加したとき、おそらくこの番組で取り上げられている多くの問題に直面するでしょう。
::おすすめ映像

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::リンク
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最終更新 2011年 9月 26日(月曜日) 14:23