「コミュニティ」とはアプローチである

何がいいたいのだろうか。とても大切なことを言いたい。
「コミュニティ」という言葉が「地域」と訳されたり、地理的であるとかアソシエーション型であるとか、いろいろややこしかったりするけれど、僕は「コミュニティ」とはアプローチを形容する言葉であると考える。または、その考え方や思想を思う。
価値も伴う。例えば、「コミュニティ的な考え方」といったら、そのまま通じてほしい。
「いやぁ、やっぱりお互いコミュニティの人間だから、話が早い!」なんて言うセリフも使ってみたい。
どういうことだろうか。

世の中で人々が生きていく上で何かしらの仕組みが成り立っている。
それを社会と呼んだり、システムと呼んだりする。
その仕組みを考える時に、政治・経済的な切り口がある。いや、政治・経済という言葉が適当ではないなぁ。まぁ、マクロ的と言っておこうか、ここでは。
つまり、日本の社会が動く仕組みを変えるには、○○という法律を可決することで改善されると思うとか、△△に予算を投じることで景気の回復が見込め…といった考え方がある。具体的な話だと、少子化対策などがその典型的な例。人間が生まれ死にゆく中で、この社会であったり国家を形成していて、その社会や国家の状況を改善するために、ある政策を投じることで解決を図る。ある意味では、有効な手段かもしれない。
一方、同様にマクロなアプローチではメディアというものがある。マスコミを使った情報操作による啓発であったり、プロパガンダであったり、世論をコントロールするひとつの方法だ。これも結構有効かもしれない。
これらの対極にあるのは、個人の尊厳を主張し、個人の幸福を価値観とするもの。
政治や経済が関係ないところで、個人の健康や幸福を担保としてひとつのアプローチを築く。
例えば、その個人の自由は尊重され、周囲に害を加えない限り何をしてもいいという考えの下、個人の自由を求める考え方がリバタリアニズムである。一方で、社会に精通していそうだけれど、実は個人の統制の話である儒教の価値観や古き良き伝統や文化なども、個人を基本としたアプローチだ。
少子化の例をもう一度出すと、未婚であろうとも、一夫多妻制であろうとも子供を持つことは自由であるし、子供を持たないことも自由であるという考え方も存在すれば、30歳になる前には男女ともに結婚し、子供を授かり、女性は子育てに励み、男性は勤労するという規範的な考え方も存在する。

というか、世の中こういったマクロな視点かミクロな視点がほとんどで、我々はその狭間で悩んでいるんじゃないかな。

個の集合体と個との間をつなぐものがなくて、困ってると思う。
その「つなぐ」という考え方が「コミュニティ」だと僕は思う。
ばらばらの物を何とかまとめなくてはというマクロの視点と、個人がどうすればいいのかという答えを提示するミクロな考え方と違い、個と個が結びつくことによって創り出される新たな空間をデザインする、そういう考え方が「コミュニティ」だと思うんだよね。
つまり、コミュニティ的な考え方とは

  • つなぐこと、つながること。つまり組織すること。
  • その組織の中で有機的な動きを生み出すこと。つまり、民主的なプロセスを創り出すこと。

だと思う。
だから「コミュニティ」という時にどのようなサイズを意図しているといった考え方はナンセンスで、「コミュニティ」とはあくまでもそのアプローチにある。
技術の進化と共に、コミュニティ的なアプローチが可能である空間のサイズはますます大きくなり、国家のサイズすら超えている。国際的なNGO活動がそれである。
Internet Governance Forumという国連のフォーラムがあるけど、それもコミュニティ的なアプローチを政策化しようとしている。まぁ、コミュニティがまだまだ未成熟だから「政策へつなげる」という背伸びをしなくてはいけないんだけど、コミュニティがより成熟すると政策というよりもお互いのルールづくりのようになると思う。まるで、車がスムーズに走るために、走行車両数に応じて信号が切り替わる間隔を決めるような仕組みを作るようなもの。
まぁ、そんな「コミュニティ」的なアプローチを真剣に議論のテーブルに上げる必要があって、そのためには組織化が必要なんだね。つまり、まずは右車線を走るか左車線を走るか合意を形成して、そんな合意を広げていくということ。ルールをあてはめるのではなくてね。
それが本質。

CO道

One Comment

  1. むむむ,shin1氏はなかなかのエッセイストですな.面白く拝見させていただきました.
    「コミュニティ的な考え方とはつなぐこと、つながること。つまり組織すること。その組織の中で有機的な動きを生み出すこと。つまり、民主的なプロセスを創り出すこと。」
    このあたり,フムフム納得と思わずディスプレイに前のめりになりました.
    ワタクシ的には,組織化のキーワードは,社会問題に対する「ほっとけない」「ひとごとじゃない」という当たり前の生活感覚だと思います.

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