社会貢献って?

いろいろあって,4月から大阪府社協社会貢献支援員として働くことになった。そのいきさつはいいとして,とりあえず,現場に入るということは,さまざまなことを学べるし,影響を受け,考えさせられる環境に身をおけるわけだ。実際に,まだ仕事は始まっていないが,研修を兼ねて,支援員の方のお話を聞いたり,会議に出させてもらったりしていると,早速いろいろな学びがあった。

社会貢献支援員の仕事は,大阪府内の老人福祉施設部会が新たに始めた,コミュニティ・ソーシャルワーカーを中心とした,社会貢献事業のサポート的役割であるが,この事業を一言で説明すると,「制度の間を埋める活動」となる。既存の福祉制度では解決,または対処できない今日的な社会問題が多くなってきている中,実際に福祉の現場にいるソ?シャルワーカーが柔軟に対応して,必要であれば,特別に集められた基金を使って金銭的な支援も一時的に行うというものである。とても画期的な事業であり,今日的社会問題の氷山の一角を解決するような仕事であると思う。そして,そうした氷山の一角は,社会の課題を浮き彫りにしてくれるものと思っている。

それにしても,社会貢献事業とは面白いネーミングと思う。というか,的を得たネーミングといいたい。福祉事業者や福祉従事者は,その仕事内容自体が「人のため,社会のため」の仕事であるため,仕事の幅を超えた更なる社会貢献活動など求められていないように思われるが,そうした福祉に対する見方も近年変わりつつある。20世紀後半にみられた「措置型」の福祉は「契約・利用型」の福祉へと移行し,福祉事業者にも経営能力が求められ,まだまだ規制はあるにせよ,より市場原理の介入が進んできている。そうしたなか,規制緩和により,福祉施設運営母体は社会福祉法人に限らず,民間企業の参入も進み,その利益をより社会に貢献するために利用するということは自然なこととなった。福祉(人々の幸福の向上)を牽引するプロフェッションとして,率先して社会貢献事業を進める大阪府の老人福祉施設部会には,いやはや感心させられます。模範ですね。

それにしても,「社会貢献」とはなんだろう?よく,ボランティア活動は社会貢献活動と言われるけど,社会に貢献する方法はたくさんあると思う。何よりも,社会に貢献するためにはまず1)社会の一部であるという認識が必要で,さらに,2)社会の必要の把握,そして3)行動という順序があると思う。ボランティア活動が一般的に評価される所以は,この三段階のステップの最終ステップであるため,最初の二つのステップが成り立っているという理解の下にある。これは,たいていのボランティア活動において,正しいと思う。また,最初の二つのステップが欠けていても,ボランティア活動を通して,最初の2ステップを自然と身に付けられることもある。おそらく,ボランティアの価値とは,実際の活動における成果と,活動を通して得ることのできる社会性との両方にあるように思う。

さて,話はそれたが,ボランティアに限らず,社会貢献とは上で挙げた三つのステップの上に成り立つものと考える。社会の一部としての認識のない社会貢献は,実は個人貢献だったり,企業貢献だったりと,えらく利己的になってしまう。また,社会の必要が把握できていなかったり,社会の必要を無視しては,社会貢献とは考えにくい。でも,ここで難しいことは,何をもって,社会の必要を満たしているかということである。個人主義色の強い今日では,人々が求めていることが必ずしも社会全体の向上につながるとは限らない。例えば,車で人々が移動することは必要だが,環境汚染や,公害を考えると,車での移動は控えたほうがよいとか。また,技術の進歩や生活習慣・文化習慣によって,必要原則が著しく変化することもある。こう考えると,ますます「社会貢献」を定義することが難しくなってきた。大阪府での社会貢献事業も,人によっては「社会貢献」と思わない人もいるかもしれない。でも,そんなこと言っていても,何も始まらないから,社会性を持って,行動することに限るね。

CO道

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