INCO

このINCOとはNew Yorkをベースとしたコミュニティーオーガナイジングのプロジェクトで、ANHD いう住宅問題に関するアドボカシー兼政策に携わる非営利があるんだけど、この団体が管理母体となり、ニューヨーク市内の15の住宅問題に携わる非営利団体 に対して、一口年間5万ドルの資金を義援してニューヨーク全体に対してのアドボカシー及びコミュニティーオーガナイジングを展開するというもので、資金的 に支援しているのはプライベートの基金・財団が半分、銀行が半分である。よって政府の助成金は0!というのも政府に対しての働きかけがほとんどのこのプロ ジェ クトを政府が支援するわけないんだけどね。ちなみにINCOとはInitiative for Neighborhood and Citywide Organizingの略で、まぁ言葉の示すとおり市全体とコミュニティーにおけるオーガナイジングを牽引するプロジェクト。コミュニティーオーガナイ ザーという職が失われている今日では夢のようなプロジェクトである。
なみにこのANHDとは僕が大学院1年生の間一年間インターンシップをしていた団体なのだが、70年代後半にニューヨークの住宅事情が荒れに荒れていた頃 発足して、当時、放火等で市の所有物となった廃墟を非営利に振り分けるプロセスを強化する目的で発足した。今日では102の非営利団体が所属している統括 組織である。僕の働くForest Hills Community House 長年メンバーで、僕の友人でFHCHAssociate DirectorIrmaANHDの常連役員である。まぁ、それもあってNY市内で15の団体が選ばれる際に特に住宅専門団体でないFHCHが選ばれ たという面はあると思う。そして、そこで中心となってCOを展開しているのが僕というわけだ。何だか、聞こえはいいが、これが結構苦労している。
ず一つには他の14の団体の多くは住宅問題のみ扱っているという部分である。よってミーティングに行くと当然住宅問題の話題しか出ない。そして、自然と オーガナイジングの形もissue-basedオーガナイジングになる。FHCHのオーガナイジングのアプローチはCommunity Buildingを基本としている。これはRothman3つのアプローチ 加えて、80?90年代にアメリカで基本となってきた考えかたで、都市化、核家族化、高齢化、グローバル化、交通手段の向上、サービス業の発展による移住 率の上昇、等からコミュニティーに必要とされる要素が消えて、コミュニティーの感覚が失われた。よってCBOはまずそこにコミュニティーというものを築か なくてはならない。しかしissue-basedオーガナイジングはそんな悠長なことは言っていられないといった調子で、コミュニティーをまとめて問題解 決をすることを第一とする傾向がある。問題解決は当然大切ではあるが、そのプロセスには当事者主導の形や、意思決定の形、リーダーシップ性など、COには 欠かせない要素が必要になってくるが、結局は今日の政治体系を受けて、政治的な圧力をかけるためにはどうするのが最善かとなってしまう。これではいつまで たっても、Reactiveであって、Proactiveにはなれない。まぁ、このディスカッションはこれからも続けて行きたいとは思う。
う一つ問題を挙げると、お金とオーガナイジングの関係である。これもまた永遠のテーマなわけだが、INCOに関して言えば、発足当初のラディカルな考え方 はすっかり影を潜め義援元がすっかりイニシアチブをつかんでしまっている。毎年義援金を受けるためには半年に一回レポートと計画書の提出義務があり、僕ら の一年目の経験はとことんひどいものだった。CO哲学を超え、個人的な信頼問題にまで発展してしまった(僕ではなく僕の上司とINCOコーディネーターの 話だが・・)。何よりも、CO はコミュニティーにおける問題定義を始め、住人がオーガナイズする必要性を感じて始めて成り立つものだと思う。どんなに能力の長けたオーガナイザーでもコ ミュニティーのニーズの無い所では何もしようがない。例えば北海道の大平原の道路も走っていないところで騒音問題に関して住民をまとめようとしたところ で、ちんぷんかんぷんといった調子だ。つまり、オーガナイジングは草の根活動で始めて成り立ち、誰かよそ者が口を出しても焼け石に水なわけだが、この場合 は焼け石に札束で、オーガナイザーはいくらでも投資元の意見を聞くことは出来るが、それでコミュニティーをまとめられるかといったら、約束は出来ない。ど ちらかといったら本末転倒な結果を導くであろう。これはINCOコーディネーターのつらいところで、お金の力を使って15の団体をまとめようとしてもそう はいかない。COには様々なスタイルがあり、それを上手に引き伸ばす手腕が問われると思う。日本でも政府が率先してCO(地域福祉)を取り込んでいるよう だけど、大切なことはオーガナイザー同士がお互いを高めあえる環境を作ることと、草の根的な要素を生かしてプログラムを遂行できるコーディネーターを就か せることだと思う。

CO道

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