A Rock Star

Take a risk and free your soul.
ロックスターの使いそうな文句だが,コミュニティ・オーガナイザーにも当てはまるんじゃないだろうか。
コミュニティ・オーガナイザーを含むソーシャルワーカーはクライエントのニーズにもとづいて行動をとる。これは基本中の基本だと思う。ここで言うところのニーズとはブラッドショーの言うところのNormative Needs, Relative Needs, Perceived Needs, Expressed Needsを含む。つまり,クライエントが求めているニーズだけではなくて, 専門職としてクライエントのニーズをアセスする必要があるわけである。そうして得たニーズにもとづき行動をとるわけだが,ここでネックとなるのは,ワーカーに降りかかる様々な社会的拘束や経済的,時間的,空間的限界である。例えば,今クライエントにとって必要なものが低価格の住居だとする,しかし,ワーカーが公営住宅に募集しても何年間も待たなくてはいけないという現状を知っているがために応募するに至らないとか,あまり無理なお願いをすると,行政の住宅問題を扱っている部署の職員との関係がこわれるとか,自分の所属している団体は住宅問題を専門に扱っていないとか,クライエントのニーズとはまったく関係ないところで障害を作ってしまうわけである。それと同時に,市場主義で成り立っている住宅事情を知っているがために,家賃の安い物件など無いし,それを探している時間も無ければ,労力も無い。と言うように,自分で限界を勝手に設定してしまうわけである。
こうした限界を築くことはオーガナイザーにとっては致命傷である。オーガナイザーは,現状の社会体系や,システムでは解決不可能な問題に対して,より広範囲で,時には政治的に,働きかけることで社会変革を促すわけである。そうした社会変革を促すことは,限界を設定しない志と,理想を描き出す想像力を要する。つまり,Take a risk and rock your soul.なわけである。リスクを負って,自分の心に準じた行動。つまり,ちょっと変人にならなくてはいけない。社会に円満している価値観からは変人と見える行為でも,クライエントの立場に立ったら理がかなっているかもしれない。オーガナイザーは,社会的な価値観も考慮したうえで,変人に成りすますことが重要である。それが,2月の寒空の下凍えながら,何百人の住民を巻き込んで,市庁舎の前で市長に向かって廉価な住宅の必要性を訴えることになっても,そこに正当性がある限り,そしてクライエントのニーズに準じている限り,まったくもって意味のある行為なわけだ。
今の日本にはもっとロックスターが必要な気がする。

CO道

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