最近ファシリテーターという言葉を良く聞く。アメリカでCOを勉強したら、いちばん最初に学ぶことであり、いつまでたっても大切なことなわけだけど、日本にもだんだんとこの言葉が浸透してきているようだ。
実は昨今、COに関する論文を訳してて、facilitateをどう訳すべきか悩んだ。悩んだ末、カタカナ表記にした。本来,こういう重要な言葉、特に人が行動を取るときにイメージとして機能する言葉は、できるだけ母国語表記がいいと思う。ただし、このサイトでもCOをCOとししまっているだけに、あまり大きなことは言えない。(アルファベットだもんなぁ・・・。)
そこで、何とかしてファシリテーターの日本語を開発したいと思う。今回の話は、そんなことのヒントになるかもしれない。
上川徹という人がいる。日本サッカー会を代表する審判であるし、世界トップレベルの審判である。
2006年、ドイツで開催されたワールドカップの三位決定戦の主審を務めた。そんな上川さんの審判スタイルは、まさにファシリテーターのそれである。上川さんは試合中、ラフなプレーができるだけ増えないよう心がける。試合がスムーズに進み、スタジアム全体がひとつとなり、納得の行く試合運びの中、お互いが全力を出し切って決着がつけられるよう、お膳立てをする。そのためには、悪質なプレーに対して厳しく毅然とした態度をとるし、避けることができなかった反則については、選手の一所懸命なプレーを盛り上げる形で、笑顔で反則を取る。スタジアムと言う与えられたフィールドで、二つのチームが全力でぶつかり合う、ボールは一つ、世界中からこの試合を見に集まってきた何万人の観衆。最高のゲームが行われるはずの素材はすべてそろっている。あとは、素材そのものの味を生かす料理人の腕にかかっている。ファシリテーターとは、そんな料理人のことなんだな。
上川さんが常に気をつけることは、冷静さを失わずに、常に自分の感情の動きを理解することだと言う。自分が会場の雰囲気に飲み込まれてしまったり、感情的になってしまったら、素材に対して余計な手を加えてしまう。だから常に、平常心を保つよう心がけている。そして、プレーヤーに対して耳を傾け、語りかける。相手の目を見て、自分が下した判断を理解してもらう。コミュニケーションをとる。
簡単そうで難しいこと。COの学校を始めたら、ここら辺からじっくりやりたいね。